糖質や健康が気になる方、体重が気になるという方のなかには「炭水化物などの糖質成分を含むお米は太るのでは?」とお米を食べるのを控えているという方も多いようです。
結論として「実は大きな誤解」が生じています。お米は科学的にも太りにくく、体に必要なエネルギーや栄養が含まれた食べものです。ここではお米の役割やお米の健康面でのメリットなどについて紹介していきます。「ごはんは太るから食べたくない」といった方などはぜひ参考にしてみてください。
ごはんは太る?
日本では古来からお米を主食として食べてきました。お米は生きていくうえでの大切なエネルギー源として必要な食材の一つです。
最近ではさまざまな食材の物価の値上がりによって家計のやりくりも大変になってきていますよね。そんな中、お米は毎日食べるものとして値上がりの影響が少ない食材です。
ただ、「ごはんは太るからちょっと。。。」などの声も聞こえてきます。ただ、「ごはんは太る」と誤解している方も多いようです。もちろん食べ過ぎには注意しないといけませんが、適切な量を意識して心がけさえすればおいしく体にもやさしい食べ物です。
お米やごはんの役割・メリットとは?
お米にはどんな役割があるのでしょうか。昔からお米を主食としてきた日本人にとってもなじみ深く、欠かせない食材のひとつです。お米のおもな成分は炭水化物です。
昨今では炭水化物はダイエットなどの食事制限をするときに敬遠されやすい存在になっています。ただ、炭水化物も体を作るために欠かせない三大栄養素のひとつです。
三大栄養素(※)は「炭水化物(糖質)」「脂質」「たんぱく質」の3つ
※参考資料:日本医師会「健康になる!三大栄養素」
お米に含まれる炭水化物の役割って?
炭水化物は体の中でブドウ糖に分解されます。分解されたブドウ糖はおもにエネルギー源となります。
生命の維持にも必要なブドウ糖が豊富
ブドウ糖は自然界にもたくさん存在している単糖類です。人など動植物の生命を維持し活動するために必要なエネルギー源です。
司令塔の役割の器官である脳を活動させるために必要となる唯一のエネルギー源でもあります。お米はこれらの生命の維持に重要な成分を多く含んだ食材なのです。
/ グルコース / glucose /
自然界に最も多く存在する代表的な単糖類。動植物が活動するためのエネルギーとなる。脳がエネルギーとして利用できる唯一の物質で、人体にとっても重要な栄養素。
グルコース(glucose)は果物や穀類などに多く含まれ、自然界に最も多く存在する単糖類です。日本語ではぶどうから発見されたためブドウ糖と呼ばれます。
引用元:e-ヘルスネット「ブドウ糖」
お米にはたんぱく質やビタミン、ミネラルも豊富
お米には「血や筋肉」などの身体の形成にも必要な栄養源も含まれています。ほかにもビタミンやミネラルも豊富に含まれています。ビタミンはたんぱく質や脂質、糖質がエネルギーに変わるときや筋肉、骨、血や皮膚に変わるときの潤滑油として手助けをする役割があります。ミネラルは体を構成するための成分や機能を調整したりする栄養素です。
お米のメリット
- 脳の働きに必要な唯一のエネルギー源であるブドウ糖が含まれている
- 三大栄養素の「炭水化物」「たんぱく質」「脂質」が含まれている
- ビタミン、カルシウム、ミネラルも豊富
お米は家計にもやさしい
原油高や円安の影響で、輸入品が値上がりする一方で、国産のお米は輸送費もかからずに価格も安定しています。朝食をパンから米にするだけでも年間で〇万円を節約になるという記事まででているくらいです。円安や原油高による物価の上昇による家計の圧迫はお財布事情にも直結してきますよね。
お米は家計の救世主になる可能性もあります。お米が豊作、不作によっても価格など影響するかもしれませんが比較的安定した食材に違いはありません。コロナの影響で外食産業が不振だったため、お米の在庫も余っている状態といわれています。
朝食をご飯にして毎日の家計のやりくりの負担を少しでも減らせたらうれしいですよね。
お米は栄養バランスのいい食べ物!
お米は三大栄養素の「炭水化物」や脳がエネルギーとして利用できる唯一の物質である「ブドウ糖」が含まれています。ブドウ糖は人の身体を維持するのにとても重要な栄養素です。
また、筋肉や血などの身体を形成するために必要なたんぱく質やビタミン、ミネラルも含んだ栄養バランスに優れた食べ物です。健康が気になる方や栄養バランスが気になる方にお米はおすすめ。とり過ぎに注意しながらバランスのいいお米をおいしく食べましょう。
ごはんは太るは誤解?理由とは
ごはんを食べると太るといわれる要因のひとつには「お米に含まれる糖質が血糖値を上げる」「体内でインスリンを分泌して糖分を脂質に変える」などの理由から「お米は太りやすい」というイメージが広がっています。
ですが、ごはんを食べると太るという認識には誤解があります。
理由として・・
小麦粉などからできているパンや麺類と違い、お米は粒のままで摂取でき、パンや麺類などの食品よりも消化や吸収がゆるやかで腹持ちもよくお腹が空きにくくなります。よって食べる量も減りやすくなります。
- おなかが空きにくくなり、腹持ちがよくなる
- 体に脂肪を溜めるホルモンの分泌がゆるやかになる
- 体脂肪の蓄積が抑えられる
- 糖分の多いお菓子やスナック、スイーツやパン、ジュースなどに比べお米による血糖値の上昇はゆるやか
どちらかといえばお米は太りにくい食べ物
これらの理由からごはんは太りにくく、また健康にもいい食べ物といえます。
参考資料:農林水産省 (https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1211/spe1_02.html)
太らない食べ方とは?
お米を食べると太るという認識を持つ方も多いのですが、古来の日本人は今よりもお米を食べていました。それでも太っている人は現代よりも少ないといえます。なぜならば、脂質の多いおかずや糖分の多い食べ物が少なかったからと考えられます。
エネルギー産生栄養バランスの割合
エネルギーを生み出す栄養素のことです。具体的には「たんぱく質」「脂質」「炭水化物(アルコールを含む)と、これらの栄養素を構成している成分が他のエネルギーも含む摂取量の中で占める割合(%エネルギー)を示したものです。
理想的なエネルギーバランスとは
理想的なエネルギーバランスはどんなものなのでしょうか。厚生労働省の「日本食事摂取基準(2020年版)では「年齢」「性別」によって目標量が区分されていますが理想的なエネルギー産生栄養素バランスは炭水化物(糖質と食物繊維)が50〜65%、脂質が20〜30%、たんぱく質が13〜20%となっています。
「一汁三菜いちじゅうさんさい」で食事バランスのいい献立を
理想的なエネルギーバランスについて紹介をしましたが、具体的にはどんな食事メニューがあるのでしょうか。具体的なものとして昔からいわれているのが「一汁三菜(いちじゅうさんさい)」です。
一汁三菜とは一点の汁物と三点のおかずが含まれるメニューを指します。たとえばご飯にみそ汁、肉や魚などのおかず(主菜)、野菜やわかめなどの海藻の副菜2品といった献立です。
一汁三菜は肉や魚などの動物性のおかず(主菜)と野菜や海藻類などのおかず(主菜)とみそ汁、ご飯といった日本で昔から食べられている伝統的なメニューです。昔から食べられている健康な暮らしを維持する基本となる献立といえます。
常温でごはん食べるのがおすすめ
ごはんを食べるときに太りにくい食べ方として常温でたべるのもおすすめです。常温のお米は主成分のでんぷんが「レジスタントスターチ」に変わります。レジスタントスターチとは分解や吸収がされにくく、体内にとどまりにくい性質のでんぷんです。
おすすめの食べ方がおにぎりです。常温でもおいしく食べられます。また、ブランド米やおにぎりに合ったお米などを選べば冷めてもおいしく食べることができます。ぜひ、自分に合う銘柄米を見つけて試してみてください。
レジスタントスターチ(resistant starch; RS)とは、ヒトの小腸まででは消化されず、大腸に届くでんぷん、および、でんぷん分解物の総称である[1]。「レジスタント」=「消化され難い」、「スターチ」=「でんぷん」という意味であり、難消化性でんぷんまたは耐性でんぷんとも呼ばれる。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ごはん1杯分の栄養価は?
ごはん1杯分の栄養価はどのくらいなのでしょうか。ごはんは栄養バランスにすぐれた食べ物です。ではいったいどのくらいの栄養が含まれているのか表にまとめてみました。気になる方はぜひ参考にしてみてください。
◎ごはん(精白米)1杯分(150g)の栄養価
おもな成分 | 量 | 単位 | おもな役割 |
エネルギー | 234 | kal | 人間が身体を動かすために必要な活動の源 |
炭水化物 | 55.7 | g | 脳や体を形成するパワーの源となるエネルギー |
たんぱく質 | 3.8 | g | 血や血液、肉や細胞など体の基本を作る |
脂質 | 0.5 | g | 体の細胞をつくるエネルギー源 |
ビタミンB1 | 0.03 | mg | 体の調子を整え、体の疲れを元気にする |
ビタミンB2 | 0.02 | mg | 体の調子を整え、美肌をつくる |
カルシウム | 44 | mg | 歯や骨を丈夫にする |
鉄 | 0.2 | mg | 酸素を全身に運ぶ |
マグネシウム | 11 | mg | 骨の発育・強化を促進 |
亜鉛 | 0.9 | mg | 細胞の形成や味を感じる味蕾の形成を助ける |
食物繊維 | 2.3 | g | 老廃物の排出などを助ける |
1日のはじまりは朝ごはんでエネルギー補充!
脳の働きに必要な唯一のエネルギー源であるブドウ糖※は、体の中に大量に貯めておくことができません。朝、目覚めたときにはほぼ空になっている状態なのです。脳の働きを活性化させるためには朝ごはんを食べて脳にエネルギーを補充することが大切になります。
※絶食が続いた時などの例外的な状況を除いた場合です。
ごはんは安定した供給源
ごはんは食べたあと、ゆっくりと吸収・消化されていきます。しかも朝、目覚めた時に不足しているブドウ糖を血液の中に補充しながら、長い時間維持をすることが可能です。ごはんは身体や脳の働きにとってとても安定した供給源なのです。
朝ごはんでブドウ糖をチャージしよう
白ごはん(100g)の場合にはおよそ2.5時間〜3時間で消化されます。食べる量や性別、年齢などによって個人差があります。
お昼ごはんまでの時間を逆算してみると朝の9時までに朝食を食べればちょうど良いタイミングで脳のエネルギー源でもあるブドウ糖がチャージできます。また、消化・吸収もゆっくりなので腹持ちもよく集中しやすい状況になります。
ごはんのデメリットとは?
ごはんのデメリットはどんなところでしょうか。お米が体質に合わないという場合には食べないようにしましょう。お米を食べてアレルギーを発症するケースもあるので体質に合わない場合にはお米を食べることはデメリットともいえます。
また、どうしても朝にはごはんが食べたくないという方は無理に食べて逆に体調を崩してしまう可能性も考えられますので無理せずに自分に合う食事管理をするようにしましょう。
糖質など気になる方は玄米もおすすめ!
ここでは、「ごはんは太るは誤解」「ごはんの役割」について説明してきました。もちろん、食べる量や回数によって個人差が生じます。また、ごはんと一緒に食べるおかずの種類や量によっても違ってきます。一汁三菜で適量を食べるようにバランスの取れた食事を心がけるようにしましょう。
ごはんを食べたからといって他の食品よりも太りやすいというのは誤解です。とはいえ、「白米はちょっと・・」「栄養を保ちながらもっと糖質が少ないものがいい」という場合には玄米や発芽玄米、糖質カット米などはいかがでしょうか。最近では糖質カット炊飯器なども市販で売られているのでチェックしてみてください。
まとめ
ここまでは「ごはんの役割」や「ごはんは太るのか?」などについて紹介をしてきました。ごはんはゆくりと吸収・消化するので腹持ちもよくお財布にもやさしい食べ物といえます。脳の働きを活性させるブドウ糖を含んだすぐれた食べ物です。朝ごはんを食べてイライラしない元気で穏やかな毎日をすごしましょう。
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