発芽玄米は玄米や白米の「おいしいところ取り」をしたメリットが多いお米です。玄米の食感が苦手、白米よりもカロリーを抑えて健康的な生活を過ごしたい方におすすめです。一方で「残留農薬などが多いっていわれているけどどうなの?」などの気になる点があります。これから発芽玄米の特徴や気になるデメリットがあるのか知りたいという方は参考にしてみてください。
発芽玄米とはどんなお米?
発芽玄米とは、玄米を水につけて胚芽をわずかに発芽させたものです。発芽させる際に酵素が働いて活性化され、玄米に含まれている養分が人間の健康にもいい栄養素に変わります。玄米よりも栄養価が高く、糠もやわらかくなるので玄米よりも食べやすくなります。
白米や玄米の違いってなに?
発芽玄米は白米と玄米の両方のいいとこ取りをした食べやすいお米です。玄米は栄養価が高く、健康が気になる方の健康食品としても人気があります。ただ、玄米は好みによって糠が硬く、ボソボソとした食感が苦手という方にとっては食べにくいというデメリットがあります。
発芽玄米は栄養価が高く、玄米よりもやわらかくてうま味も強いので食べやすいという特徴があります。玄米が食べにくいと感じた方は白米と同じような味わいの発芽玄米がおすすめです。
また、発芽玄米は糠がやわらかくなっているので、玄米のように浸水時間をかける必要もなく白米と同様に手軽に炊飯ができます。玄米より炊飯にかかる手間も省けます。
発芽玄米の魅力は?
発芽玄米にはどんな魅力があるのでしょうか。発芽玄米は「GI値が低い」「ビタミンB群が豊富」など健康な体作りを支える栄養成分を含んだ魅力のある食品です。では、少しくわしく紹介していきます。
白米よりもGI値が低い
発芽玄米はGI値※が低い食品に分類されます。発芽玄米に含まれている糖(でんぷん)は吸収する速度がゆっくりです。食パンや白米にくらべ、腹持ちがよく健康や美容のために食事制限をしているときでも食べやすい食品です。
GI値とは、グリセミック・インデックス(Glycemic Index)の略で、食後血糖値の上昇度を示す指数のことです。つまりこのGI値が高い食材を食べると血糖値が急上昇し、反対に、GI値が低い食材を食べると血糖値は緩やかに上昇します。
引用元:山梨県厚生連健康管理センター「食品のGI値」を活用し、健康な体をつくりましょう!」
発芽玄米で健康な体作りを支える
玄米は白米にくらべビタミンB1・B6などのビタミンB群やGABA、食物繊維などが豊富に含まれています。
GABAが白米の10倍
発芽玄米にはGABAが豊富に含まれています。玄米を発芽させた発芽玄米はGABAが、白米の10倍、玄米の2〜3倍ほど含まれているといわれています。GABAは興奮を静める神経伝達物質です。
・精神を安定させる
・ストレスを和らげる
・脳の働きを活性化させる
などの作用があるといわれています。健康や美容のための食事制限による空腹感やいら立ちなどの原因になる可能性があります。GI値の低い発芽玄米は健康が気になる方にもおすすめの食品です。
GABA(ギャバ)は正式名称を「ガンマ−アミノ酸」といいアミノ酸の一種ですが、特に哺乳動物の脳や脊髄に存在します。体内では主に抑制系の神経伝達物質として脳内の血流を活発にし、酸素供給量を増やしたり、脳細胞の代謝機能を高める働きをします。その為、脳内でGABA(ギャバ)が不足するとイライラしたり体調不良の原因となってしまいます。
引用元:ファンケルオンライン「GABA(ギャバ)を含有。発芽玄米のうれしい効果とは?」
ビタミンB群が豊富
発芽玄米は白米とくらべてビタミンB群が豊富です。ビタミンB群は、体の中で炭水化物をエネルギーにする作用を促す栄養素です。
ビタミンB群は身体の調子を整えるために重要な栄養素です。不足するとエネルギーを生成する働きが不十分になりやすくなります。発芽玄米を取り入れることによって、ビタミンB群も補えます。
発芽玄米のデメリットとは?
ここまでは発芽玄米の魅力や特徴についてを紹介してきました。一方で発芽玄米は「残留農薬があるので危険」「消化に悪いみたい」などを不安に感じる方もいるようです。では本当にそうなのでしょうか。ここでは不安を感じる方のために解説していきます。
残留農薬はあるの?
玄米や発芽玄米にはなぜ、玄米や発芽玄米には残留農薬が多く含まれているという疑問が生じたのでしょうか。
農薬が親油性のために、脂質の多い糠を含んだ玄米や発芽玄米を食べる場合には白米よりも危険であると考えられていたため、こういった疑問が生じてしまったようです。
しっかりと検査を受けたお米を購入する
日本で流通をしているお米は基本的に、玄米のときに厳しい基準の検査をクリアしたお米ですが、糠に残留農薬が残りやすいといわれているため、気になる場合にはしっかりと検査を受けたお米かどうか確認して購入するようにしましょう。発芽玄米を自宅で作る場合には無農薬のお米がおすすめです。
残留農薬の規定で決まっている値は農薬によっても違ってきます。ただ、基準値の農薬を毎日摂取したとしても支障のない量だとされています。
無農薬の玄米も選択肢としてあり
市販で流通しているお米は検査も抜き打ちでかけられているため、基準値を超えたお米は流通させないような仕組みになっています。ただ、玄米や発芽玄米の場合には厳しい基準をクリアしたものや無農薬で栽培されたものを選ぶほうがいいでしょう。
自宅で発芽させてつくる場合は無農薬の玄米がおすすめ
お米の農薬は糠にたまりやすいといわれています。玄米や発芽玄米は農薬を身体に取り込みやすくなっているので、発芽玄米を自分でつくる場合には無農薬の玄米でつくるのが望ましいです。
玄米や発芽玄米にも含まれる「フィチン酸」
玄米や発芽玄米には「フィチン酸」という物質が含まれています。フィチン酸は植物の三大栄養素のなかの一つである「リン」を蓄える役割の物質です。このフィチン酸はミネラルと結合しやすい性質があるため、玄米や発芽玄米のミネラルの吸収を妨げるといわれています。
ただ、フィチンはお米以外にも多くの食品に含まれています。特に玄米や発芽玄米に多く含まれているわけではなく、適切な量を把握していれば科学的にも問題ないとされています。
参考文献:日本食品分析センター/フィチン酸について
玄米や発芽玄米に含まれている「アブシジン酸」は毒?
玄米毒の理由とされる物質には「フィチン酸」と「アブシジン酸」がありますが、「フィチン酸」については食品薬品安全センターなどの研究によって、フィチン酸を主成分としてコメヌカ酵素分解物の安全性が確認されています。むしろ、機能性に注目があつまっているくらいです。では、「アブシジン酸(ABA)」は危険なのでしょうか。
参考文献:厚生労働省ホームページ(既存添加物の安全性の見直しに関する調査研究)
アブシジン酸とは
アブシジン酸とはどんなものなのでしょうか。アブシジン酸とはどんなものかについて紹介していきます。
ミトコンドリアを傷つけるという噂
「アブシジン酸」が人の細胞内にあり、エネルギー生成に関わるミトコンドリアを傷つけるという説や噂があり、一部では「発芽毒」と呼ばれているようです。
アブシジン酸を含んだ植物調節剤について、内閣府の食品安全委員会によって安全性が報告されています。現時点では、アブシジン酸が人の健康に害を及ぼすといった可能性は低いと考えられています。よってフィチン酸と同様に過度に心配する必要がないでしょう。
参考文献:米国環境保護庁(EPA)、植物調節剤、S-アブシジン酸の残留基準値設定免除に関する規則改定/内閣府 食品安全委員会
参考文献:How natural drug, abscisic acid, fights inflammation
生産者から通販で購入する
発芽玄米の場合には自宅で玄米を発芽させて作るケースや市販で購入するケースなどがあります。購入先として、生産者、農家などから直接通販で購入するとどんな栽培をして作られたお米なのかわかりやすいといったメリットがあります。どのように栽培されたお米なのか気になる方におすすめです。
発芽玄米は、玄米や白米のいいところを兼ね備えているお米
ここまでは発芽玄米の魅力や特徴やデメリットなどについて紹介してきました。発芽玄米は白米と玄米の良いとこを持ち合わせた「いいとこ取り」の多くのメリットがある食品です。発芽玄米は玄米の食感が苦手、食事制限をしているという方におすすめです。
一方で発芽玄米や玄米には残留農薬などのデメリットが気になるという方は無農薬や厳しい検査を受けたお米を選ぶようにしましょう。玄米と同じ栄養価で白米と同様の食感で、しかも白米よりも栄養がありカロリーを抑えた発芽玄米でより健康的な生活を過ごしてみてはいかがでしょうか。
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